ごあいさつ

サステナビリティ(持続可能性)という言葉が初めて公に登場したのは、1984年に国連が設立した「環境と開発に関する世界委員会」(通称「ブルントラント委員会」)が1987年10月にまとめた最終報告書「Our Common Future」とされています。ちょうどブラックマンデーが世界同時株安を引き起こした一方、日本はまだバブル経済に湧いていた頃のことでした。

1972年の「成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート」において、このまま経済成長や人口拡大が続けば、地球上の自然資源は枯渇し、許容範囲を超えて環境汚染が進み、成長が限界点に達することを指摘した欧米社会では、経済成長と環境保全がトレードオフの関係にあるとの議論が行われてきましたが、やがて両者は対立するものではなく、互いに補完しあうものという見解が生まれました。これが、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす」という概念として表明された持続可能な開発(Sustainable Development)です。

サステナビリティの思想は、2000年のミレニアム開発目標(MDGs)を経て、2015年に策定された持続可能な開発目標(SDGs)において、2030年をターゲットとした国際的な目標へと昇華しました。いまやSDGsは世界共通の言語としてその存在を確立しつつあり、視覚に訴える17目標とカラーホイールのアイコンの効果もあって日本でも広く浸透しはじめました。また、特に環境・気候変動にかかわる課題への意識が醸成されてきたことを背景に、SDGsとは別の系譜として責任投資から発展してきたESG(環境・社会・ガバナンス)への関心も高まっており、国際社会や国・地方政府など公的セクターだけでなく、企業や金融機関、教育機関、市民社会などさまざまな主体がサステナビリティに取り組む重要性を認識しはじめています。

SDGs策定から2030年までの折り返し地点を過ぎ、コロナ禍を経てビジネス環境が大きく変化しつつあるいま、企業も組織も、かつての高度経済成長期やバブル期のように目の前の短期的な利益や成果を追求すればふつうに生き残っていける時代ではなくなり、中長期の未来を見据え、自分たちだけでなく周りにいるステークホルダーを尊重し、協働し、それにより社会の多様な課題を解決していくことこそが、継続的な成長や価値創造のために求められるようになりました。

そのために欠かせないのが、自ら考え、行動することです。SDGsがターゲットとする2030年は、わずか数年先の近い未来となりました。しかし、さらに30年、50年、100年先まで想像し、これからの世代が行きていく世界をより良いものに変えるために行動するには十分な時間があるともいえます。このままではいけないことを人々が認識しはじめたいまが、まさに行動するときです。そしてkarnaでは、行動する主体と協働することで、世界を変革するひとつの力になりたいと願っています。

株式会社karna
代表取締役 森本 美紀子